小窩裂溝(溝やくぼみ)
当院では、『自分の歯に優るものはない』という考えのもとに、予防歯科に最も力を入れております。一度、治療が終了しても、治療を繰り返さないようにするためには非常に重要な事です。お口の中の2大疾患である虫歯や歯周病の発生を抑えるために歯ブラシ指導や予防処置を重視しております。
そのため治療終了までには予防処置や説明の時間をいただいてます。『生涯、自分の歯で噛みたい』という方は是非ご来院下さい。
虫歯(う蝕)は、細菌(ミュータンス菌、ラクトバチラス菌など)感染によって起こります。細菌は、人が飲食した食べ物から栄養をとり、酸をつくります。
この酸によって歯が溶かされるのが虫歯です。特に関係する細菌は、ミュータンス菌です。
この細菌は、砂糖を分解してネバネバした物質であるグルカン(歯垢)をつくります。このネバネバした物質によって、歯に強固に付着し、酸がつくられることによって歯が溶かされます。しかしながら、人間の体には、この酸と抵抗する力があります。
個人差がありますが、唾液や歯の質などがその力です。抵抗力を超えて、酸にさらされる時間が長ければ、虫歯は進行していきます。
また、ネバネバしたグルカンによって、多くの細菌が歯に付着し、他のバイキンを巻き込みながら増殖し、バイオフィルムと呼ばれるバイキンの巣をつくっていくのです。バイオフィルム中の細菌は、遊離した細菌に比べ、薬に対して約500倍の耐性を示すようになります。
ほとんどの虫歯は、この部位から発生します。
小窩裂溝(溝やくぼみ)
隣接面(歯と歯の間)
歯頚部(歯と歯肉の境目)
磨き残しの出来やすい部分なので注意しましょう!
隣接面は、普通の歯ブラシでは、磨けません。糸ようじ(フロス)や歯間ブラシで磨きましょう。小窩裂溝の虫歯予防には、予防填塞(シーラント)という方法があります。
エナメル質は、歯冠の外側の部分で、人体でもっとも硬い組織です。97%がリン酸カルシウムで虫歯に強い組織です。
象牙質は、エナメル質の内側の組織で、70%がリン酸カルシウムでできています。エナメル質より虫歯に弱く、進行が早いです。
象牙細管という管が表面から歯髄に向かって走行しています。しみたりする症状は、この象牙細管を介して歯髄(神経)へ伝えられます。
歯髄は、象牙質の内側の組織で神経や血管が入っています。一般的に、この部分のことを神経とよんでいます。
歯の表面に、白斑・白濁がある状態です。エナメル質の表面が脱灰されて、白く見えます。きれいに歯ブラシを行っていれば、再石灰化して治ると言われています。また、フッ素は再石灰化に効果的です。
もう少し進行すると、表面が粗造になったり着色したりします。こういった状態では進行しないように、また、治る(再石灰化)ように、きれいにお手入れをしてもらい、フッ素を塗ったりして、経過観察していきます。また、小窩裂溝(歯の溝)では、予防填塞(シーラント)という方法があります。
エナメル質までの虫歯です。痛みはありません。
エナメル質をこえて、象牙質まで達した虫歯です。歯髄には達していないので、強い痛みはありませんが、冷たいものや甘いものなどで、しみたりすることがあります。
歯髄に達した虫歯です。歯髄炎をおこし、激しい痛みがでることがあります。ここまで進行すると、神経をとる治療が必要になります。
さらに虫歯を放置しておくと、バイ菌の感染がどんどん進んでいき、神経を殺してしまい、根っこの先に膿みの袋をもつようになります。(根尖性歯周炎)
根っこの治療(感染根管治療)が必要になります。
虫歯で歯が崩壊して、根っこが残った状態です。ほとんどが、根の先にバイ菌が感染してしまっています。(根尖性歯周炎)虫歯が歯茎の下に深く進行して、抜歯しなければならないことがあります。
しかし、抜歯しなくて保存できることも多いので、あきらめず早めに診てもらって下さい。放っておけば、どんどん、虫歯が進行して、保存が難しくなります。
虫歯の進行は、組織の構造や配列に関係します。エナメル質の虫歯は、エナメル小柱に沿って進行し、象牙質の虫歯は、象牙細管に沿って進行します。
象牙細管は、どの場所でも中に向かって尻すぼみに走行します。
エナメル質の虫歯は、エナメル小柱に沿って進行し、象牙質の虫歯は、象牙細管に沿って進行します。虫歯の進行形態は、円錐形となる傾向にある事から、この円錐形をう蝕円錐(うしょくえんすい)と呼びます。
エナメル質では、①小窩裂溝(歯の溝)は奥に底面のあるう蝕円錐で、②平滑面(歯の横)では、その逆になります。象牙質では、③どの場所でも表面側に底面のあるう蝕円錐になります。
したがって、平滑面(歯の横)より小窩裂溝(歯の溝)の方が、見た目より虫歯が大きくなります。また、象牙質ではエナメル質より早く虫歯が進行し、 虫歯が象牙質に達すると横に広がり大きくなりますので注意が必要です。
虫歯が歯茎の下まで進行した場合、通常通りの治療では、後で必ずと言っていいほどダメになります。
なぜならば、歯茎の下で被せ物を精度よく作ることが難しいからです。長期的に歯を残すためには、矯正治療によって、歯を歯茎から引っ張りだして、虫歯の部分を取り除いてから被せ物をするのが最善の治療方法です。
根っこが折れた場合、折れ方によっては、この治療方法によって残せる可能性があります。放置しておくと、折れたスキマにバイ菌が入り込んでしまい、(痛くなくても)そのままにしておくのは危険です。
折れた所まで、矯正治療によって、引っ張りだせば、残せる可能性があるのです。
矯正治療期間は、10日に一度ゴムの交換に通院し、2〜3回で終了することが多いです。その後、歯のまわりに、くっついてきたハグキを切除します。ハグキの直るのをまって、被せ物をして治療終了です。このように歯を引っ張りだすことを挺出といい、部分矯正の移動様式でもっとも簡単な方法です。